種牡馬研究(種牡馬6大分類)

血統を主軸に競馬予想をするにあたって、各種牡馬を一頭一頭それぞれの特徴を捉えていくというアプローチも行うが、それととともに、その種牡馬の源流となる血統が大きく分けてどのように分類されているかを把握することも重要。「こじまるの血統競馬」では、種牡馬の分類を、以下のように6つに分類した。なお、サンデーサイレンス系とロベルト系は源流が同じヘイルトゥリーズン系だが、産駒の特性が大きく異なることから分けて考えることにした。

  • サンデーサイレンス系
  • ロベルト系
  • ノーザンダンサー系
  • ミスプロ系
  • ナスルーラ系
  • その他

各々の競走馬のイメージを掴む際に、まず意識したいことは、競走馬の父が上記のうちのどの系統なのか、そして母父がどの系統に含まれるかを確認すること。そしてその補完として、父母父と母母父にもどの系統が内包されてるかも確認する。

その大分類された系統の特徴を掴むことが最初のステップ。まずはサンデーサイレンス系種牡馬を考えていきたい。90年代以降、日本競馬を席巻したサンデーサイレンス。今や、血統表にサンデーの血を持たない競走馬が出走してくるのは稀と言えるほど。そのサンデー系については、別項を設けて考察していきたい。

サンデーサイレンス系

サンデー系種牡馬分類はこちら

ロベルト系

ロベルト系の大まかな特徴

サンデー系以外で、まず注視したいのが同じヘイルトゥリーズンを源流としたロベルト系。サンデー系が席巻する直前の日本競馬で中心だった血統だ。古くはライスシャワーを出したリアルシャダイ。そして三冠馬ナリタブライアンなどG1馬を多数出したブライアンズタイム。近年では、シンボリクリスエスが気炎を上げ、スクリーンヒーローやアーネストリーを出したグラスワンダーも存在感をアピールしている。そして2020年には、シンボリクリスエスの後継種牡馬のエピファネイアが、無敗の三冠牝馬のデアリングタクトを輩出し、サンデー系の牙城を崩す勢いを見せている。

とにかくタフネスでスタミナ豊富。サンデー系のような線の細さが感じられない。持ち前の馬力(パワー)でガシガシ走る。また、ここ1番の大勝負に強い。特注レースは菊花賞と有馬記念。息の入りにくいハイペースのレースなら、持ち前の持久力がより発揮される。スローで瞬発力勝負はサンデー系に任せて、ハイペース・道悪など、タフネスな展開になったらロベルト系の出番だ。また、叩き良化型であることも大きな特徴で、使って使ってようやく結果を出す馬も多い。

ロベルト系の派生図

ブライアンズタイムタニノギムレット
マヤノトップガン
クリスエスシンボリクリスエスエピファネイア
シルヴァーホークグラスワンダースクリーンヒーローモーリス 
アーネストリー
ブライアンズタイム タニノギムレット    
マヤノトップガン    
クリスエス シンボリクリスエス エピファネイア  
シルヴァーホーク グラスワンダー スクリーンヒーロー モーリス
アーネストリー  

ノーザンダンサー系

米国・欧州を始め、全世界を凌駕した伝説的な種牡馬ノーザンダンサーから派生する父系。サンデー系ほどの軽い切れ味には欠けるが、スピードの持続力に長ける馬が多い。各系統の血は、母父や母母父に入っても強い影響力を及ぼすことも多く、現代競馬では傍流となってしまった血統でも見落とさずに注視したい。

欧州血統の代表とも言えるサドラーズウェルズからはオペラハウスを経てメイショウサムソン、シングスピールを経てローエングリン、ロゴタイプ。もう一つの欧州血統の雄、ダンシングブレーヴからはコマンダーインチーフやキングヘイロー。

米国血統では、スピード感に溢れてダートにも滅法強いストームバード(その仔ストームキャット)やダンチヒ。ダンチヒから繋がれたディンヒルはさらにキングジョージ6世&クイーンエリザベスの勝ち馬ハービンジャーを出し欧州でも成功を収めた。ハービンジャーは、今や押しも押されぬ、サンデー系とキンカメ系の対抗格とも言えようか。

ノーザンテーストは、80〜90年代の日本競馬の屋台骨を支えた重要な血脈。父系としては途絶えてしまったが、エアグルーヴ・ダイワスカーレットなど母父として産駒の能力底上げに一役買っている。

ノーザンダンサー各系統の大まかな特徴

サドラーズウェルズ系

スタミナに優れ、道悪得意。底力、勝負根性も申し分なし。単に道悪の鬼ということだけではなく、上がりがかかる馬場で、他馬にとっては35秒台かかるようなレースでも34秒台でまとめることが出来る能力がある、という見方で捉えたい。

リファール系

先行粘り込みか、豪快追い込みの両極端。ワンペースの締まった流れに強く、緩急は苦手。

ダンチヒ系

スピード中心の血統だが、長距離をこなす産駒も多く、各能力のバランスが良い。どんな競馬にも対応できる。母系に入ることで産駒の反応力が上がる。トップスピードを持続し続ける能力にも長けているのも特徴。

ストームキャット系

米国スピード型。テンからガンガン飛ばして最後までバテずにゴールへなだれ込む競馬が得意。一本調子の早熟タイプ。母系に入って、産駒の全体的なスピードを底上げする。

ヴァイスリージェント系

前傾ラップに強い、米国スピード型。馬力・持続力に長ける。ダート適性も高い。東京マイルG1に欠かせない血統。

ニジンスキー系

スピードに加えて、スタミナ・持久力を併せ持つ。

ヌレイエフ系

スピード能力高く、マイル適性もある。サドラーズウェルズと似た配合なので、道悪も強い。

ノーザンテースト系

スピードに加えて、スタミナ・持久力を併せ持つ。丈夫な産駒が多く根性もある。

ノーザンダンサー系の派生図

サドラーズウェルズシングスピールローエングリン
オペラハウスメイショウサムソン
ガリレオフランケル
モンジュー
リファールダンシングブレーヴキングヘイロー
コマンダーインチーフ
ホワイトマズル
ダンチヒディンヒルロックオブジブラルタル
リダウチョイス
ハービンジャー
チーフベアハート
ストームバードストームキャットヨハネスブルグ
スタチューオブリバティ
ジャイアンツコーズウェイシャマーダル
ヘニーヒューズ
タバスコキャット
フォレストワイルドキャット
ディスクリートキャット
カリズマティック
ヘネシースキャットダディ
バーンスタインゴスホークケン
ヴァイスリージェントフレンチデピュティクロフネ
ニジンスキーカーリアンフサイチコンコルド
ゼンノエルシド
ヌレイエフスピニングワールド
ブラックホーク
ノーザンテーストアンバーシャダイメジロライアン
その他フェアリーキングエリシオ
ファルブラヴ
タートルボウル
ラストタイクーンマルジュ
エルグランセニョールロドリゴデトリアーノスーパーホーネット

ミスプロ

ミスタープロテクター、略してミスプロ系。遡ると、1952年アメリカ二冠馬のネイティヴダンサーが祖となるが、その中でも大成功を収めたのがなんと言ってもミスプロ系。世界中に枝葉を広げ、米国ではパワーとスピードに溢れた産駒を、欧州ではスタミナに対応した産駒を生み、各地の競馬に適合した産駒を輩出している。

ミスプロ系の大まかな特徴

キングマンボ系

かつては「雨のキングマンボ」として異名を誇ったが、キングカメハメハが種牡馬として大ブレイクし、クラシックディスタンスの芝重賞を席巻。今やキンカメ系として、独立分類していいレベル。短距離から中長距離と幅広くカバー。また、キングカメハメハは、母系の良さを引き出すことに優れているのも特徴のひとつ。産駒の多くは操縦性に優れ、自在性に長ける。特に内枠で上手く立ち回る。今後は、血統表にサンデーを持たないロードカナロアに注目が集まる。

フォーティナイナー系

ミスプロ系の中でもスピードに特化した血統。基本ダートだが、どっこい芝でも走る。主な代表種牡馬はアドマイヤムーンとスウェプトオーヴァーボード。ノーザンダンサー系ヴァイスリージェント系と似た傾向がある。

その他

日本競馬においては、ミスプロ系ではキングマンボとフォーティナイナーの2系統が主流となっているが、芝G1馬の母系で時折見かるゴーンウエスト系やマキャヴェリアン系など、産駒のスピードとパワーの底上げに貢献している。コントレイルやスワーヴリチャードの母父アンブライドルズソングスも、このミスプロ系アンブライドルドの産駒だ。シュヴァルグランの母父もマキャヴェリアン系。シーキングゴールド系からは、モンテロッソやマクフィなど新種牡馬も成功を収めつつあり、今後の活躍いかんによっては、2大主流を脅かす存在になるかもしれない。

ミスプロ系の派生図

キングマンボキングカメハメハロードカナロア
ルーラーシップ
ドゥラメンテ
トゥザワールド
タイセイレジェンド
ハタノヴァンクール
ホッコータルマエ
ラブリーデイ
リオンディーズ
アルカセット
アポロキングダム
エルコンドルパサー
キングズベストワークフォース
フォーティナイナーアドマイヤムーン
スウェプトオーヴァーボード
サウスヴィグラス
プリサイスエンド
その他アグネスデジタル
シーキングザゴールドマイネルラヴモンテロッソ
ドヴァイマクフィ
ウォーエンブレム
アフリートスターリングローズアスカクリチャン
ジェイドロバリー
マキャヴェリアン
アンブライドルドアンブライドルズソング
エンパイアメーカー
ゴーンウエストケイムホーム
レイヴンズパス
スパイツタウン
ストーミングホーム

ナスルーラ

70〜80年代の日本競馬を担った血統。プリンスリーギフトを祖とする流れから、テスコボーイを経て、トウショウボーイやサクラユタカオーが出て、マイル戦や中距離戦を牽引。一方でグレイソヴリンからはトニービンが多くのG1馬を輩出。特に東京コースに強く、「府中のトニービン」は競馬初心者がまず覚える血統格言だった。ボールドルーラーは日本で父系としては栄えていないが、母系に入って強い影響力を持つ。ネヴァーベンドからは、90年代にミホノブルボンやイナリワンなどの名馬を多く出した。現代の日本競馬で主流とは言えないナスルーラ系だが、バゴがレッドゴッド→ブラッシングルーム系の復興を担うべく気を吐いている。2020年の宝塚記念・有馬記念で、バゴ産駒のクロノジェネシスが圧勝し存在感をアピールした。

ナスルーラ系の大まかな特徴

グレイソヴリン系

現在ではトニービン系が主流。父系としてはジャングルポケットに後を託すのみか。ハーツクライが母父トニービンの特徴を色濃く残している。一瞬のキレ味には欠けるが、一度スピードに乗ったら長く良い脚を続けられるのがこの馬の1番の長所。スローで不発に終わった馬を、ハイペースのレースで狙いたい。

プリンスリーギフト系

短距離からマイルまでを主戦場。新潟千直でも有効な血統。スピードの持続力に長けているのは、後述のボールドルーラー系と一緒だ。

ボールドルーラー系

米国スピード型の典型血統。テンから飛ばして持続力勝負に強く、一本調子で流れるハイペースのレースで、そのまま息が続きゴールへと雪崩れ込むのを得意とする。しかも急坂をものともしないタフネスさも併せ持つ。母系にこの馬を見かけたら要注意。アグネスタキオン、マツリダゴッホ、アルアインなど、母父にボールドルーラー系を持つ馬は、坂のあるコースで厳しい展開になった時に強い。

ネヴァーベンド系

パワーとスタミナが持ち味。道悪やハイペースの消耗戦・時計のかかる馬場で底力が生きる。主流血統からは遠のいたが、母系でこの血統を見かけたら、底力アップと覚えておこう。

レッドゴッド(→ブラッシングルーム)系

長距離を走り抜くスタミナと、鋭い決め手を併せ持つ。パワーを要する馬場に強い。道悪の鬼。「ブラッシングルームの連勝に乗れ」の血統格言もあるように、2〜3歳時に中々勝てなかった馬が、古馬になってからポンポンと勝ちだすことも多い。今後は何と言ってもバゴ産駒に注目。

ナスルーラ系の派生図

グレイソヴリン系トニービンジャングルポケット
テレグノシス
ミラクルアドマイヤカンパニー
コジーンアドマイヤコジーンマジンプロスパー
スターオブコジーン
プリンスリーギフト系テスコボーイトウショウボーイ
サクラユタカオーサクラバクシンオー
→ショウナンカンプ
ボールドルーラー系シアトルスルーカポーティ
エーピーインディパイロ
シニスターミニスター
パルピットタピット
ドバイマジェスティ
マジェスティックウォリアー
ネヴァーベンド系ミルリーフマグニチュード
ミルジョージ
パラダイスクリーク
メイショウホムラ
リヴァーマンリヴリア
ブレイヴェストローマン
レッドゴッド系ブラッッシングルームバイアモン
バゴ
クリスタルグリッターズ

その他

サンデー系、ロベルト系、ミスプロ系、ノーザンダンサー系、ナスルーラ系の5大血統に含まれない血統。時折競走馬の血統表に現れ、マイナーだが重要なファクターとなることもあり、要注意。

それぞれの大まかな特徴

ヘイロー系

サンデーサイレンス、ロベルトと同じヘイルトゥリーズンを祖とするが、ヘイローからサンデーへ流れなかった傍流血統。本来なら主流血統の一支流として分類されるべきだが、現代日本競馬の影響力を考慮し、その他とした。タイキシャトルやロージズインメイを出したデヴィルズバックと、ニホンピロウィナーを出したサーゲイロード系がある。

マッチェム系

カルストンライトオとサニングデールを出したウォーニング。その血を遡ると、インリアリティを経由して、マンノウォー系に辿り着く。短距離に強く、新潟千直の特注血統。

リボー系

現役時代は凱旋門賞を連覇した名馬。種牡馬としては、気性の荒い産駒を多く出し、狂気の血リボーの異名を持つ。ひとたび覚醒した時の破壊力は相当なものがあり、ジャパンカップで2着馬に9馬身差を付けたタップダンスシチーと、凱旋門賞2着のナカヤマフェスタ(母父リボー系)がその代表だが、その他にもマイネルキッツ(父母父リボー系)、アドマイヤモナーク(父母父リボー系)と、穴馬の大激走の陰にリボーの血あり。

ドイツ血統系

ブランドフォードは日本古来のステイヤー血統。2020年京成杯勝ちのラストドラフトの父がノヴェリストだが、その父モンズンはドイツの大種牡馬で、その祖はブランドフォード系に遡る。

派生図

ヘイローデヴィルズバッグタイキシャトルメイショウボーラー
ロージズインメイ
サーゲイロードニホンピロウィナー
マッチェムマンノウォーウォーニング
リボーヒズマジェスティタイトスポットプレザントタップ
トムロルフホイストザフラッグ
ブランドフォードモンズン